01 書簡ではなく本
DECODE R4502 は Embassy of the Free Mind によって「Johann Valentin Andreae, 'Chymische Hochzeit Christiani Rosenkreutz'」という題で、8枚の画像と次の注記とともにアップロードされた。「ドイツ語で書かれたこの薔薇十字主義の本には、暗号文を含むページが4つある。知られている限り、これは一度も解読されていない。」所蔵者は、同館が3部を所蔵し、撮影されたのはそのうち1部だけだと付け加えている。DECODE のカタログをここに取り込んだ際、取り込みスクリプトはこの記録を「宛先不明の人物への書簡」に分類した。画像に写っているのは、タイトルページ(シュトラスブルク、"In Verlägung Lazari Zetzners S. Erben"、1616年)と、pp. 72–73、94–95、96–97、98–99、116–117 の5つの見開き、そして奥付(Conrad Scher、1616年)である。暗号を含む4ページは次のとおり。
- p. 73、第4日:泉の碑文 Hermes Princeps … Bibite fratres, et vivite の下にある記号の行。
- p. 95、第5日:ウェヌスの墓所に通じる鉄の扉に銅の文字で記された言葉。
- p. 97、第5日:ウェヌスが眠る寝台の背後にある銘板。
- p. 116、第6日:骨壺の碑文の末尾、Anno の後に続く行。
02 ウェヌスの墓所の扉、p. 95

HIE LIGT BEGRABEN VENUS DIE SCHON[E] FRAW SO MANCHEN HOHEN MANN UMB GLUCK EHR SEGEN UND WOLFART GEBRACHT HATT
「ここに美しき貴婦人ウェヌスが葬られている。彼女は数多くの高貴な男たちから幸運、名誉、祝福、繁栄を失わせた。」語り手はこれを「わが書字板に」書き写す。次のページで、この墓が何を意味するのかと彼が尋ねると、小姓はこう答える。"hie ligt begraben (sagt er) Venus die schöne Fraw / so manchen hohen Mann umb Glück / Ehr / Segen und Wolfart gebracht hatt"(p. 96)。
03 寝台の背後の銘板、p. 97

WAN DIE FRUCHT MEINES BAUMS WIRT VOLLENDS VERSCHMELZEN WERDE ICH AUFWACHEN UND EIN MUTER SEIN EINES KONIGS
「わが木の実がすっかり溶けたとき、私は目覚め、王の母となるであろう。」p. 98 で小姓は、アトラスが王に語るのを聞いた言葉を繰り返す。"wann der Baum … wirdt vollends verschmeltzen / so wirdt Fraw Venus wider erwachen / vnd sein ein Mutter eines Königs"。
04 アルファベット
2つの碑文は同じ単一換字を用いている。1文字につき1記号で、語は区切られており、冗字(ヌル)も符号語もない。156文字に19種の記号が使われ、大文字形は1つ(語頭の H)である。U と V は1つの記号を共有する。M、N、O は1つの形に点を付けた3つの変種である。対応は小姓の注解が与える語によって確定する。B-E-G-R-A-B-E-N から b、e、g、r、a、n、F-R-A-W から f、w、G-L-U-C-K から l、u、c、k、F-R-U-C-H-T から h、t、といった具合である。出現するすべての記号に値があり、この表を両方の本文に適用しても矛盾は生じない。このアルファベットは作者独自のものである。ドイツ語の文字は20字しか現れず、比較できるものは何もない。
| 文字 | A | B | C | D | E | F | G | H | I | K | L | M | N | O | R | S | T | U/V | W | Z |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 代用字 | x | d | c | 6 | p | J | g | h, H | z | k | 8 | m | n | o | s | b | q | v | w | Z |
代用字は、各記号に最もよく似たラテン文字である。形の説明を付けた完全な表は
targets/andreae1616/key.tsvにあり、 decode.py が転写を平文に変換する。
05 2つの記号行:日付


この2行は文字の暗号ではない。ローマ数字に錬金術記号と惑星記号が混ざっており、日付である。Foxcroft の1690年の翻訳に従う crcsite.org の英語版は、泉の行を1378(脚注12)、骨壺の行を1459(脚注21)としている。また、骨壺の行の右端にある合字を P.H.M.D.、すなわち "Paracelsus Hohenheimensis Medicinae Doctor" と解釈している。1378年は薔薇十字宣言書が Christian Rosencreutz の生年として挙げる年である。1459年はタイトルページにある年である。
記号と照合すると、骨壺の行には4つの輪(CCCC)、IX、M があり、M CCCC L IX に合う。泉の行は3つの点を伴うレムニスケートで始まり(∞ は1000を表す古い記号である)、XX と点の付いた V を含み、M CCC LXX VIII に合う。どちらの解釈も評価C(蓋然的)とする。構造は公刊された年と一致するが、L やより小さい単位を表す記号は一つひとつ同定されておらず、各行は短すぎてそれらを確定できない。
06 未解決のまま残るもの
- 2つの日付行の個々の数字記号(全体としては評価C)。それぞれ約10記号からなる一回限りの象徴的な日付で、すべての値を確定するには短すぎる。
- M、N、O を表す3つの点付き記号は、平文を見ながら区別した。DECODE の解像度(見開きあたり約1,450 px)では、点が小さすぎて予備知識なしには見分けられない。より良い画像があれば決着がつくだろう。他の16記号は曖昧さがなく、それだけで本文を確定する。
- Ritman の他の2部は撮影されていない。1616年版は組み置きの活字から印刷されたので、同じ碑文を載せているはずである。
DECODE は R4502 を解読済みとして掲載すべきである。書簡ではなく印刷本であり、単一換字と2つの象徴的な日付を含む。訂正は申請待ちである。
07 出典
- Embassy of the Free Mind (Ritman Library)、Chymische Hochzeit、シュトラスブルク、1616年:DECODE R4502、公開画像2–8。
- 小説自体の注解:同版の pp. 96 と 98。また Deutsches Textarchiv にある1616年刊本の転写も参照。ただしこの転写は碑文を図として扱い、省いている。
- E. Foxcroft(訳)、The Hermetick Romance: or The Chymical Wedding、ロンドン、1690年。Confraternity of the Rose Cross のオンライン版:第4日(注12)、第5日(注14、15)、第6日(注21)。
転写、記号表、デコーダ、ノート:targets/andreae1616/。