01 書簡と鍵
DECODE の4枚の画像は文書館での順序どおりになっていない。P4 は f. 110r(スキャン 0408)で、「Sacra Cat.ca & Ces.a M.ta」で始まる。これは平文で、軍需品を携えて越境する王太子と大元帥、ブリアンソンにいる国王、そしてフランスに仕えるスイス人を呼び戻そうと Isola の大佐とともに動いている「Mons.or di Marnol」について書かれている。P1 は f. 110v(スキャン 0409)で、グラウビュンデンについての平文の後に暗号11行が続く。P3 は f. 111r(スキャン 0410)である。抹消線の引かれた暗号1行があり、その後に平文の結びが続き、「In M.lo ali xiiij de Nov.e M. D. xxxvij」と日付が入り、「il Car.l Caracciolo」と署名されている。P2 は宛名の葉で、「del Cardenal Caracciolo xiiij de Nov.e 1537」という端書きがある。
Cifrario 38(Luo 2021, p. 657、AGS Estado leg. 38 doc. 190 による)は3つの部分からなる。
- 同音字を備えた創作記号のアルファベット。aには6つの記号があり、e、i、l、n、o、p、uにはそれぞれ2~4つある。
- 音節表。子音の基底記号に母音を表す上付き数字を付ける。5 = a、6 = e、7 = i、8 = o、9 = u。たとえば 2 はsの基底なので、2⁷ = siとなる。
- 上付きの 2、3、4 で示される冗字(ヌル)と、少数の符号語。
暗号の1行目を見ると、この方式の働きがわかる:2⁷ a̱o⁸ 3⁶ + 9 ṉo⁵ θ 4⁷ a+⁵ ṉo⁶ = si do ve a p ra c ti ca re。

02 解読
暗号の綴りどおりに行ごとに示す。[..] は解決できなかった記号を、語を囲む角括弧は疑わしい解読を表す。
1 solo si dovea practicare per Marno a se volevano concordarse
2 como erano Suizari, et in tal caso ho scripto piu vol-
3 te a Marno a che manda il Panizone in mio nome et pagato
4 quale a fe? resolui, perche io serria? contento
5 dare a epsi Grisoni como a[..] Elvetii la tracta
6 del frumento gratis, facendo capituli convenienti.
7 Fin qui a epso Marno a non e parso [..] dicti Griso-
8 ni; harriano 'l facto como [..] Suizari. Epso Marno a
9 se accorge hora de la malignita et perfidia de
10 Suizari et [..] et soi ministri. Se deve ne recor-
11 dare, e quante volte io ha dicto che epsi Suizari far-
(f. 111r, cancelled) riano quello hora fan po[..]
要するに、Caracciolo は Marnol がグラウビュンデンとの間で進めている工作を報告している。Marnol は、グラウビュンデンがスイス人と同じように協定に応じるかどうかを確かめることになっていた。Caracciolo は彼に何度も手紙を書き、Caracciolo の名で Panizone を派遣して報酬を払うよう求めていた。グラウビュンデンには、スイス人に与えられたのと同様に、適切な条項のもとで穀物のtrattaを無税で与えることになっていた。これまでのところ彼らはそれを良しとせず、スイス人と同じようにふるまったことだろう。Marnol は今やスイス人とその役人たちの悪意と不実を目の当たりにしていた。Caracciolo は、スイス人が「hora」何をするかを自分がどれほどたびたび述べてきたかを皇帝に思い起こさせている。最後の語句は、書き手が抹消した行の中にある。
03 先行研究と手法
カール5世のスペインの暗号を扱う Tomokiyo のページは、Luo の博士論文についての節でこの鍵の名を挙げ、1–4行目の大まかな解読(「… pagabo quale e a e f ressolvi perche io se r ri a conbento」)を示している。この記述は作業の前に見つかり、鍵にたどり着くきっかけとなった。ここでは DECODE の画像から書簡を行ごとに解読し、鍵には何の変更も必要なかった。3行目はpagato、4行目はcontentoとなり、Tomokiyo はそれぞれpagabo、conbentoとしていた。Luo の論文はこの書簡を校訂していない。
04 第2パス、および不確かなまま残るもの
第1パスでは約15%が未確定のまま残った。全行を4倍に拡大しコントラストを上げた第2パスで、次の4つの規則によりその大半が決着した。
- 上付き数字は直前の記号に属する。5行目では 3⁶ 4⁷ et がve ti iと解読され、語は「Elvetii」となる。
- 上付きなしの ♀ は文字 r で、上付き付きの ♀ は p の音節である。これにより8行目で「harriano」、7行目で「parso」が得られる。
- 横線付きの g 形の記号は f の同音字で、6行目の「frumento」を与える。
- 点の付いた記号は冗字(ヌル)である。
約330記号(記号ごとに数えたものではなく推定値)のうち、10個ほどが疑わしいまま残る。
- 4行目:1文字ずつ解読した「a fe」と、n とみなした記号が a の予想される位置にある「serria」。
- 5行目:「como a」の後の a の同音字2つ。
- 7行目と8行目:それぞれ記号1つ。
- 10行目:「et」の後の「2 a」。
- 抹消された行:「po」の後の1音節。
05 出典
- Archivo General de Simancas, Estado leg. 1184 fol. 110、スキャン 0408–0411:DECODE R9966(ログイン)。
- Wanruo Luo, El lenguaje cifrado de Isabel de Portugal (1530–1539)、博士論文、Universitat de València、2021年(RODERIC)、Cifrario 38、p. 657。
- Satoshi Tomokiyo, cryptiana.web.fc2.com, “Spanish ciphers during the reign of Charles V”、Luo(2021)についての節。
メモ、読解、プロファイル:リポジトリの targets/caracciolo1537/。
