01 文書と鍵
| 記録 | 丁 | 日付 | 言語 | 内容 | 状態 |
|---|---|---|---|---|---|
| R9411 | 248r–v | ブダ、1534年2月6日 | ラテン語 | ハンガリー王ヤーノシュ(サポヤイ)からバイエルン公たちへ。同時代の行間解読付き | 読解済み、語の96% |
| R9412 | 250r–251r、封筒251v | Ofen(ブダ)、[1534年]2月8日 | ドイツ語、ラテン語の箇所は平文 | ブダの代理人からバイエルン公へ、Cornelio Sperantio宛ての封筒に入れて | 部分的に読解、95.0%(補いを除くと89%) |
暗号は、この巻の図形記号の集合(↓ ω π 4 8 ÿ …)による同音異字換字で、語の区切りなしに書かれ、平文のラテン語の箇所が暗号の中にそのまま残されている(“Ceterum”、“Misimus nunc”、“Et primo” … “Quarto”)。主な値:w/4 e、q n、v r、x/L s、5 a、3 u、y t、7 m、m i、c c、9 o、d l、6 d、8 n、D f、A b、K rr、Y ll。いくつかの記号は多音字で(π b/w/o、4 e/i、∃ d/ch、u/v/k/gを表す二重の縦線)、いくつかは文字対や語を表す。2oはラテン語ではet、ドイツ語ではund、oo = qu、r+ = sch、a+ = derである。二重コロンの前の‡は段落の冗字(ヌル)である。
R9415(1533年4月18日)のためにkaa4591bで再構成した鍵と照合すると、共通の記号はすべて一致する(w e、x s、3 u、v r、y t、q n、5 a、7 m、9 o、8 n、d l、6 d、D f、c c)。一方のセッションはR9411の注記から鍵を見つけ、もう一方は注記を使わずにR9415の鍵をそのまま適用して、R9411で91%に達した。2つの道筋が互いを裏づけている。
02 R9411:ヤーノシュ王から公たちへ、ブダ、1534年2月6日
解読(targets/sperantio1534/r9411/reading_r9411.txt)から、ラテン語原文のまま、欠落は[…]で示す:
Salutem et omne bonum. Illustrissimi principes domini ac fratres carissimi. Accepimus literas Vestre et ea quae […] etiam intelleximus quae […] secretarium suum scripserunt. Vestre ita sibi persuadere velint, quidquid nos in rem commodum et dignitatem earum et fratrum atque amicorum suorum id facere possumus, id semper libentissimo animo facturi sumus. […] videtur tamen esse res communicanda cum illustri domino regni nostri gubernatore, qui propediem hic apud nos futurus est. Videtur enim nobis esse satius de hac re capere consilium ipsius quam si ex abrupto apud potentissimum Turcarum imperatorem rem tentaremus. … Ceterum Vestre medio magnifici […] capitanei et consiliarii nostri … ex parte minerarum auri, argenti et aliorum metallorum, quae res nobis vehementissime fuit cordi, … cum Dei auxilio rem aggredi. … Misimus nunc hunc servitorem nostrum Nicolaum Freeberger ad Vestras … Bude sexta Februarii, anno etc. xxxiiii.
大意:ヤーノシュ王は、兄弟と呼びかける公たちのためにできることは何でもするという。公たちの要請はまず王国の総督(Lodovico Gritti)に回さねばならない。総督は近く到着する予定で、いきなりトルコ皇帝にこの件を持ち込むよりは、彼の助言を得るほうがよい。敵対者たちが広めている知らせは偽りである。王は自らの隊長兼顧問を通じて、金、銀その他の鉱山に着手した。これは王がきわめて心にかけている事柄である。王は家臣Nicolaus Freibergerを公たちのもとへ送り、そうした鉱山の経営を引き受けるよう誘い、その道に熟練した親方を求める。追伸では、バイエルンの鉱山条例(“ordinacionem rerum montanarum”)を確かな使者で送るよう求めている。
03 R9412:ブダからの情報書簡、1534年2月8日
ドイツ語、注記なし。書き手が12月22日に不確かな使者に託して送った内容を繰り返すところから始まる。1行目のその日付は前の書簡のもので、この書簡の日付は末尾に“Datum Ofen, des achten Februarii”とある。解読(targets/sperantio1534/r9411/reading_r9412.txt。[…]は未解読、波括弧は意味からの補い、大文字は紙面上の平文)から:
wie erstlich, was der canczler herr Stephan Werbeczi bei dem Turcken hab ausgericht. ET PRIMO: so hat er dem Ungerland mit dem Turcken einen ewigen frid gemacht und angestossen. SECUNDO: das alle stett und flecken … als nemlich Peterwardein und […], mit Titil, Salmaulack {Salankamen} … TERTIO: … die zwitrachten, als von wegen des titels der kunig … QUARTO: … SED TAMEN PER MAXIMOS SUOS CONATUS NIHIL ALIUD IMPETRARE POTUIT QUAM ILLUD QUOD …
大法官Stephan Werbőczyは、オスマン宮廷でハンガリーとトルコの恒久和平を取りつけた。ドナウ沿いの地名が挙げられている。Peterwardein(Petrovaradin)、Titel、Salankamenである。王たちの称号と国境の町々をめぐる争いは解決されることになっており、書き手はスルタンの書簡の写しを送った。続いてトランシルヴァニアと鉱山に対する計画が述べられる。Fridrich Schmalczは鉱山事業の長におさまり、鉱業に熟練した者たちをペストへ送っている。ニュルンベルクにいる彼の代理人の名が挙がり、ウィーンの“herr Caesar”も挙がる。ある司教が平文のラテン語で公に挨拶を送っている。b/wとd/tの組は記号を共有しているので、“beczi”はWerbecziである。
04 手法
- 両書簡とも、DECODEの画像から最大解像度で切り出した行ごとの画像をもとに記号単位で転写した(R9411は2,040記号、R9412は2,725記号)。R9411は4回、R9412は3回通した。
- R9411:ラテン語の言語モデル(
la)によるソルバー(焼きなまし法)で、行間注記の値(r9411/solve.py,run7.txt)から出発し、それに縛った。注記と手で照合して確認した。 - R9412:R9411の鍵を16世紀ドイツ語の言語モデル(
de-1500s)で調整し直し、文字対と二重字の記号は文脈から定めた。その後、意味に基づく手作業の通し(84% → 89%)と、すべての欠落の確認(89% → 95.0%)を行った。 - 却下したもの(それぞれ自らの得点を上げながらドイツ語を悪化させたため):2つの自動的な類似字形修復(
confuse.py)と、語彙指標で駆動する2つの鍵最適化(lexopt.py,lexopt2.py). - 対照実験:5ページすべての第2の独立した転写(4,745記号)に、R9415の鍵と語単位の当てはめ(
fit.py)を適用すると、注記なしでR9411は91%になる。
05 不確かなまま残る点
- R9412:31語が未解決、37語が意味からの補い(確度C)。未解決の箇所には、2つ目のドナウの要塞(10行目)、“Caiianer”(44行目)、司教(56行目、おそらくVarad、確度I)、Schmalczのニュルンベルクの代理人(51行目)、署名(65行目)、そしてにじんだ記号の位置にある約20の単語が含まれる。独立した転写でもこれらは解決しない。障害:判読不能。
- R9411:にじんだ記号の位置にある1語ずつの欠落が13か所。19行目の隊長の名(“Casparis?”、確度I)を含み、そこでは注記もかすれている。cumis、composuit、decretamのような疑わしい語は確度Mである。障害:判読不能。
06 出典
- Bayerisches Hauptstaatsarchiv, Kurbayern Äußeres Archiv 4591, ff. 248–251、DECODEの記録R9411とR9412経由(画像はログインが必要。パブリックドメインではないので、ここでは転写としてのみ再現)。
- 姉妹の鍵:同じ巻のR9415、このプロジェクトで再構成(kaa4591b)。
- 刊本は見つからなかった(ウェブ検索、Géváy、Magyar Történelmi Tár、Werbőczyの1533–34年の使節行に関する文献)。
転写、鍵、解読、両セッションの作業ファイル:リポジトリのtargets/sperantio1534/。

