日本語訳 · 原著 Daniel Bourdeau『Unsolved Historical Ciphers』は CC BY 4.0 で公開されている。本ページは JIC による翻訳で、原著者の公式版ではない。訳文に相違がある場合は英語原文が優先する · 英語原文を見る ↗
⊐ 2 ·ıı· 5 Ŧ 4 = m i tt e r e
⊤ V ᒧ 9 ϲ + = v a l e n t
Ŧ S L ⊏ Π L ⊥ Ŧ V L = res nostras

ポジョニ → フェラーラ · 人名を表す3つの符号記号を伴う同音異字換字 · 1482年6月1日

マーチャーシュ・コルヴィヌスからエルコレ1世・デステへ、1482年6月1日

マーチャーシュ・コルヴィヌス
差出人マーチャーシュ・コルヴィヌス
エルコレ1世・デステ
宛先エルコレ1世・デステ

モデナ、Archivio di Stato, Carteggio principi esteri 1622, b. 1/3, nos. 2, 2a · 1ページ、ラテン語、暗号のまとまりが約15 · DECODE R1156、「partially decrypted」

ハンガリー王が、ヴェネツィアに攻撃されたばかりの義弟に、どんな援助を送れるか、そしてそれがなぜまだ届かないのかを伝える。この手紙は1877年に、そして1895年に再び、解読とともに刊行された。ここでは暗号のまとまりを画像から転写し、刊本と突き合わせて作業用の鍵を再構成した。それによって、刊行されたテキストの誤りを4か所訂正する。

Daniel Bourdeau · 投稿 · 更新

方法:既存の解読から読解 · 範囲:完全

要約。この手紙は、カタログで1497年以前の候補として浮上した。1482年にハンガリー王が暗号で書いたもので、DECODE では部分的にしか解読されていないとされている。その解読はすでに刊行されていた。Magyar diplomácziai emlékek III(1877年)がモデナの原本から刊行し、Vilmos Fraknói が Mátyás király levelei II(1895年)no. 131 に再録して、原本は「一部が秘密の記号で書かれている」と注記している。暗号は単純なものである。文字を表す創作記号、よく出る母音には2〜4個の記号、点で示される重字、そして人名を表す3つの記号(ヴェネツィア、ナポリ王フェルディナンド、マーチャーシュ自身)。まとまりを刊行テキストと突き合わせると、鍵の大部分が再構成できる。すると鍵は、校訂版が4か所で誤っていることを示す。軽騎兵(フサール)は「ほかの者より価値がある」者たち(valent、刊本では「valoris (sic)」)である。Balázs Magyar は召使いではなく軍勢(gentibus)を連れて出発する。ナンセンスとして刊行された結びの文は、Speramus cito nos res nostras ita disposituros, ut meliori postea modo vos iuvare possemus と解読される。そして Fraknói が下部に載せる「同時代の要録」は、半分が暗号の、手紙自身の最後の文である。状態:解読はすでに刊行済み、ここで訂正。未解決:faciet のあとのまとまり1つとその前の平文の動詞、そして regina のあとの2つの人名記号。

01 手紙

ヴェネツィアは1482年5月にフェラーラに宣戦した。エルコレ1世・デステ公は、ナポリ王フェルディナンドの娘で、1476年からハンガリー王妃となっていたベアトリクスの姉妹であるエレオノーラ・ダラゴーナと結婚していた。エレオノーラは姉妹とその夫に助けを求める手紙を書いた。マーチャーシュは6月1日、ポジョニ(プレスブルク、ブラチスラヴァ)から返事を書いた。彼自身、ハンガリーとイタリアのあいだに領地を持つ皇帝フリードリヒ3世と戦争中であった。

手紙は書記局の書体によるラテン語の1ページで、裏面に宛名と赤い封印がある。儀礼の言葉と論理の部分は平文である。数、部隊、経路、人名、計画は暗号で、短いまとまりとして平文の行に組み込まれている。DECODE には画像が2枚ある(I5815、I5816)。権利は文書館が保持しており、画像はここには転載しない。

02 暗号

ラテン語の各文字は創作記号に置き換えられている。多くの記号は数字や向きを変えた文字のように見え(5, 4, 9, 2, 3, 7, 8、裏返しの C、L、T とその倒立形 ⊥、Ŧ、Π、Λ、⊏、⊐、∃、∅)、そのためまとまりは一見、数字の列のように見える。母音と最もよく出る子音にはそれぞれ2〜4個の記号がある。重字は点に挟まれた1つの記号で表し、mittere と mitteremus の tt は ·ıı· である。まとまりの内部に語の区切りはないが、まとまり自体はほとんどが1語か短い句で、平文と同じように間隔をあけて置かれている。

ラテン語の書記局書体の5行。平文の語のあいだに創作の暗号記号のまとまりがある
手紙の9–13行目:statim cum d. regina consorte nostra statuimus [mittere] in [subsidium vestrum quingentos equites], inter [quos] essent [centum usarones], idest [homines] levis [armature], qui plus [ceteris valent] … 画像:Archivio di Stato di Modena, Cancelleria, Carteggio principi esteri 1622, b. 1/3, no. 2、DECODE R1156 より。

下の作業用の鍵は、各まとまりを刊行テキストと並べ、少なくとも2つの語で繰り返し現れる値だけを残して得たものである。

文字記号文字記号
a8, Vn⊏, ϲ
bdo7, Π, Λ, +
cϽ(裏返しの C)p⊔
d2, ᑐq=
e5, 4, 9, ςrŦ
fϵ(1回のみ)sL, Γ, S
gᒪ(鉤つきの L)t⊥, +
h6u / v⊤, ∃
i2, 3, ∅tt·ıı·
lσ, ᒧ
m⊐, ᑐ

人名記号:Veneti(および Venetorum)に輪のあるアンパサンド、regi Ferdinando に十字の入った四角、そして Rex Hungarie、すなわち王が自らを指すものに尾が輪になった q。いくつかの記号は2つの文字を兼ねるように見える(+ は o、t、e、2 は i と d)。暗号は全部で約330記号しかなく、標本が短すぎて、これらが文字間で共有される本当の同音字なのか、画像からの転写では区別できない似た2つの形なのかは判断できない。

03 解読された本文

平文はローマン体、暗号のまとまりは角括弧内、刊行テキストへの訂正は太字で示す。すべて平文である手紙の最初の数行は、Fraknói が刊行したとおりである。

… statim cum domina regina consorte nostra statuimus [mittere] in [subsidium] [vestrum] [quingentos] [equites], inter [quos] essent [centum] [usarones], idest [homines] levis [armature], qui plus [ceteris] [valent]. Sed cum examinaremus cum domina regina ‹記号2つ› et [aliis] nostris, per [quam] [viam] possemus [eos] [mittere], non invenimus aliquam [tutam]. …

In crastinum hinc recedet [Mager] [Balas] [capitaneus] [noster] cum [pluribus] [gentibus], iturus in [Croatiam] versus [confinia] [Venetorum], ubi [plures] etiam [congregabit]; et quotienscunque inventa erit [tuta] [transeundi] [via], statim significet [Regi Hungarie] et illic faciet [?] [venient].

Speramus cito nos [res] [nostras] ita [disposituros], ut meliori postea modo [vos] [iuvare] possemus. [Rex Hungarie] [scripsit] [regi Ferdinando] quomodo possent [diverti] [Veneti] et [confundere] [eos] et cum paucis [pecuniis].

Dat. Posonii, primo Junii 1482.

「……ただちに王妃とともに、貴殿の援助に騎兵500を送ることを決めた。その中には軽騎兵(フサール)100、すなわち軽装の兵がおり、ほかの者より価値がある。しかし王妃およびほかの顧問たちと、どの道で彼らを送れるかを検討したところ、安全な道は1つも見つからなかった。……明日、わが隊長 Balázs Magyar が大軍を率いてここを発ち、クロアチアへ、ヴェネツィアの国境に向かう。そこでさらに兵を集めるであろう。そして安全に通れる道が見つかりしだい、ただちにハンガリー王に知らせ、彼らはそこへ向かうであろう。われわれは、まもなく自らの事柄を整え、その後はよりよい方法で貴殿を助けられるようになることを望んでいる。ハンガリー王はフェルディナンド王に、いかにしてヴェネツィア人の気をそらし、混乱に陥れられるか、それもわずかな費用で、と書き送った。」

04 刊行されたテキストの誤り

  1. 「qui plus ceteris valoris (így)」。まとまりは v-a-l-e-n-t である。軽騎兵は「ほかの者より価値がある」者たちである。編者は存在しない語を印刷し、sic と記した。
  2. 「cum pluribus servis」。まとまりは g-e-n-t-i-b-u-s で、congregabit と同じ鉤つきの L の g がある。Balázs は軍勢を連れて出発するのであり、ヴェネツィア国境でさらに兵を集めるために送られる隊長にふさわしい。
  3. 「Speramus nos eos nostris contra dispositiones ut meliori postea modo possemus (így)」。校訂版は平文の語 cito を飛ばし、r-e-s を eos、n-o-s-t-r-a-s を nostris と取り、d-i-s-p-o-s-i-t-u-r-o-s を「contra dispositiones」にし、文に必要な動詞 v-o-s i-u-v-a-r-e を落としている。記号から解読すると、文はまっとうなラテン語になる。Speramus cito nos res nostras ita disposituros, ut meliori postea modo vos iuvare possemus.
  4. 「要録」。Fraknói は手紙を日付で終え、「手紙の末尾に同時代の手で」書かれた要録として、Rex Hungarie scripsit regi Ferdinando, quomodo possent diverti Veneti et confundere eos et cum paucis pecuniis という語句を載せている。それは日付の前にある、同じ手による手紙自身の最後の文で、3つの人名記号と s-c-r-i-p-s-i-t、d-i-v-e-r-t-i、c-o-n-f-u-n-d-e-r-e、e-o-s、p-e-c-u-n-i-i-s が暗号になっている。彼の語句は正しいが、文を手紙の外に置いてしまった。裏面には宛名と封印しかないので、別個の解読が存在するとすれば、それは DECODE が画像化していない葉 2a にある。

05 不確かなまま残る点

06 出典

メモ、DECODE のレコード、校訂版のテキストの写しは、リポジトリの次のフォルダにある: targets/matthias1482/。画像は文書館の要請によりリポジトリに含めていない。